上蒔田椋神社御田植祭は、春の農作業に先駆けて3月第1日曜日に行われる早春の祭事で、秩父地方に春を告げる祭りとも言われている。神社境内を神田に見立て、氏子の代表12名の神部(うち2名が作家老)によって実際の農耕順序に従い、苗代づくりから本田の収穫までを模倣した行事で、神部達は白装束と烏帽子で身を包み、田植唄や祝唄を唱えながら、先祖から伝承してきた古風な所作を面白おかしく演じる。クライマックスの代掻きに御神馬2頭を用いていることは特色といえる。平成21年3月17日に埼玉県無形民俗文化財に指定された。
今年も豊作であってほしいと願う豊穣予祝の行事であり、農耕を主体とした山の神と田の神の去来信仰として古くから存在した。御田植祭に迎えられる山の神は、武甲山から来臨すると言われる。山の神が春の初めに里に迎えられ、やがて田の神となり稲作を守護し豊作をもたらし、秋の収穫が終わると再び山に送られる。
田植に関する芸能は、天長10年(833)に田舞が演じられている記録(日本書紀)によっても、当社の御田植祭の歴史は相当古いと思われる。

イベント詳細情報

開催日 2026年3月1日 (日)
3月第1日曜日
11:00~14:10
開催場所

秩父市上蒔田椋神社境内

実施団体の紹介

団体名 椋神社御田植祭保存会
団体概要 上蒔田椋神社の氏子数は、現在68名で高齢化や若年層の市外転出等が進み、減少傾向にある。役員構成は神官2名・責任役員2名・総代長1名・副総代長1名・代表総代4名・組総代11名・行事4名計25名で成り立っている。御田植祭が斎行される上蒔田椋神社は、秩父市蒔田字宮平2872番地に所在し、大己貴命(おおなむちのみこと)が主祭神である。椋神社の創建は、社蔵の古文書である「椋神社縁起」には『当椋神社ハ 人皇第十二代景行天皇ノ御代 日本武尊東国平定ノ当時 当所椋ノ大樹ノ下ニ八千矛神(やちほこのかみ)大己貴命ヲ斎ヒテ 椋大神ト称(とな)ヘ奉ルヨシ社伝ノ縁起ニアリ 以来延喜式神明並ニ 三代実録等ニ撰載(せんさい)シタマフ処ノ神社ニシテ 御歴代崇敬厚カリシ事明ラカナリ』と書かれている。椋神社の主たる年間行事は、11月第4日曜日に秋季祭、12月第3日曜日に吉神祭、3月第1日曜日に例大祭(御田植祭)を斎行している。例大祭時には、多くのカメラマンが来訪し、祭の賑わいを醸成している。
団体PRメッセージ 椋神社縁起の故事に基づき、氏子によって御田植祭が連綿と斎行されてきた。明治6年(1873)には延喜式内社を称することを許可され、明治10年(1877)に本殿を再建、明治12年(1879)に拝殿改築工事を着工、明治015年(1882)2月に拝殿が落成された。この御田植祭は地域住民の1年の農耕生活や集落共同体と密接な関わり合いをもち、生産面・信仰面・行事面・において、豊富な民俗性を有している。しかも県下の稲作地帯にこの種の行事が見当たらず、秩父という山間地に伝承されてきていることは注目に値する。