2026年2月23日(月・祝) イオンモール川口 センターコート・センターコート横・ウエストコート・イーストコート
埼玉県文化アプリ「ぶんたま」のオープンを記念した「伝統文化体験フェア」が、2026年2月23日(月・祝)にイオンモール川口で開催されました。県内各地から6つの伝統文化団体が集まり、ショッピングモールのフロアが一日限りの「文化の広場」へと変身。お囃子の音色、ベーゴマの回る音、お茶のやわらかな香りなど、体験あり、演奏あり、ものづくりありと多彩な催しが並び、大人も子どもも“思い思い”に楽しむ、賑やかな一日となりました。
会場の各所には、当日の催し物が一目でわかる看板も。県内の伝統文化団体による様々な体験が用意されていました。
そんなイベントの様子を、レポートとしてお届けいたします。
約400年の歴史を持つとされる「和光市下新倉ささら獅子舞」。3匹の獅子が恋愛模様(なんと三角関係!)を軸にしたストーリーを展開し、クライマックスで大きく舞って邪気を払う。そんな演目が特徴の獅子舞です。
今回は、獅子舞には欠かせない太鼓や「ささら」と呼ばれる丸竹の先を細かくさいた楽器などの、獅子舞の演奏体験ができるブースでした。
「下新倉ささら獅子舞」は、獅子ごとに動きが異なり、基本的に一人が一役を担う“三匹立ち”で、師から弟子へと教えながら継承していくそうです。流行病が続いた時期も「厄除けの意味があるから」と活動を止めなかった保存会の皆さん。川口の子どもたちが初めて触れる獅子の頭に目を丸くする場面も。文献に残るだけで400年、地域の暮らしとともに生きてきた文化の重みを、会場で肌で感じることができました。
「下新倉ささら獅子舞保存会」の旗と、会場に展示された伝統衣装や紅白幕が祭りの雰囲気を醸し出していました。
歴史写真の展示コーナー。400年にわたる伝承の歩みが一枚一枚に刻まれています。
海外でも「BONSAI」として広く親しまれている盆栽ですが、実際に手を動かして作ったことがある人はどのくらいいるでしょうか。今回のワークショップでは、小さな盆栽を自分でつくる体験を通じて、枝の曲げ方や土の入れ方など、作り手目線の技術と美意識を丁寧に伝えていました。
鋏を使って丁寧に形を整える参加者。職人さながらの集中力で盆栽に向き合う様子も
子どもも本格的な鋏で挑戦。世界にひとつだけの小さな盆栽がここで生まれました。
「ブームとしても注目されている盆栽。でも、職人技や伝統の軸が置き去りにならないよう、大切な文化を伝えていきたい」と語るのははちす葉 BONSAI–Artの担当者。商業施設という身近な場所だからこそ、伝統文化の「覗き穴」を広げられると考えているそうです。参加した子どもも大人も、真剣なまなざしで鋏を入れていた姿が印象的でした。
体験以外にも、魂を込めて育てられた盆栽の数々も展示されていました。
法被(はっぴ)姿の子どもたちが太鼓や笛に向き合う姿は、なんとも凛々しいもの。川口市の「江戸祭囃子 松之一連」は、無形文化財の系譜につながる師匠筋から指導を受け、地域の神社祭礼と一体となって受け継がれてきた団体です。
会場に用意された法被。
約1時間の体験では、お囃子のリズムを教わって、練習をしていました。
集まった参加者たちはしっかりと叩き方を覚え、懸命にリズムを刻んでいました。その光景は微笑ましくもあり、頼もしくもありました。「まずはこの場所で体験することが記憶に残って、また触れられる場所に来てくれたら嬉しい」。楽しかった記憶がいつか伝統文化との再接続につながることを、指導者の皆さんは温かく期待していました。
ホワイトボードでリズムを丁寧に指導する会長。言葉と音で伝える、職人の技です。
法被姿で太鼓に挑む参加者たち。真剣な表情に会場が温かい空気に包まれていました。
着物姿の先生がお茶を注ぐ様子は、それだけで絵になります。今回登場したのは、埼玉だけでなく全国的にも有名な狭山茶の「煎茶道」。狭山茶のルーツは、天台宗の系譜から川越周辺へ広がったとされる長い歴史を持ちます。戦国期に一度途絶えながらも復興を経て、現在の狭山茶へ。その歴史は実に深いお茶です。
参加者には最初に和菓子が提供され、その後煎茶が注がれます。
最後の1滴までしっかりと注がれた煎茶を実際に飲んで楽しめる体験です。
「飲み方でこんなに感じ方が変わるのか」と驚く参加者が多かったそう。味わいと背景にある文化の両方で新鮮な驚きを届け、和菓子と一緒に楽しむひとときは、日常の喧騒を忘れさせてくれるようでした。
ゆっくり、丁寧に提供されるお茶。心が落ち着くようです。
お茶の歴史を聴きながら、お茶を嗜む贅沢な時間でした。
今回のイベントで最も行列のできていた催し物がベーゴマ体験教室・ミニ大会。川口はかつて日本有数のベーゴマ生産地として知られており、その文化を守り続けているのが郷土資料館と地元の鋳造所です。近年は年2回ほどイオンモールで教室や大会を開催し、過去には1,000人規模が集まったこともあるそうです。
全3回の体験&大会が実施されましたが、どの回も行列ができる、満員御礼の人気ぶりでした。
ベーゴマを体験したことのない子どもたちには、巻き方から回し方までスタッフさんが丁寧に教えていました。
ベーゴマの文化は、日本で盛り上がっているだけでなく、海外からも「ベーゴマの文化を知りたい」という声があり、ベイブレードをきっかけに「聖地巡礼」として資料館を訪れる外国人もいるとか。今後は同時に回した人数で記録に挑戦する企画も検討中で、その広がりが楽しみです。
「子どもたちが楽しめる文化を守ること」を軸に、文化・教育が交差する面白さが広がる一日となりました。
ベーゴマに現代のデコレーションやレジンアートを組み合わせた、ちょっとユニークなブースが登場しました。主催のHau'oli marketは、クラフトのモノづくりやレジン素材への愛着から、川口市の伝統玩具のベーゴマに新しい入口をつくりたいという思いでスタート。
オリジナリティあふれるものづくりとして、「ベーゴマデコワークショップ®/レジンのベーゴマ「レジンベー®」」の商標も登録して、活動をしています。
カラフルなパーツがずらりと並んだ展示は、見ているだけでワクワクします。
選んだパーツを組み合わせて、自分だけのオリジナル「レジンベー」が作れます。
最後は、スタッフの方にレジンとして仕上げてもらったら完成!
当日は子どもに体験してもらうつもりで参加した親御さんも、いつの間にか一緒にレジンベー作りにハマっている様子もちらほら。家族みんなで夢中になる姿があちこちで見られました。
30〜40代の親世代も楽しめる“入口づくり”を大切にしており、「まず触って、回して、作ってみる。それで伝統を知るきっかけになれば」という想いがつながる、あたたかいワークショップブースでした。
それぞれの催しに、何十年・何百年と守り継いできた人たちの思いが宿っていました。ショッピングモールという日常の場所だからこそ、「知らなかった」から「知る」への入口が生まれる。まず触れてみることの大切さを、あらためて感じた一日でした。「ぶんたま」では、今後も埼玉県内の伝統文化情報を発信していきます。気になる文化に出会ったら、ぜひチェックし体験してみてください!